香木伝来伝承の地のはなし
香木伝来伝承の地、枯木神社
日本書紀に下記のような一節があります。
「推古三年夏四月、沈水※、漂着於淡路嶋、其大一圍。嶋人、不知沈水、以交薪焼於竈。其烟氣遠薫、則異以献之。」(※沈水とは、香木の沈香のこと)
現代風に訳すと、下記のようなところでしょうか?
「推古天皇3年(西暦595年)の夏4月、ひと囲いほどの香木(沈香)が淡路島に漂着した。島民は沈香を知らず、薪と共に竈(かまど)で焼いた。するとその煙は遠くまで類い希なる良い薫りを漂わせた。そこで、これは不思議だと思い朝廷に献上した。」
このように、日本書紀に日本最初の香木伝承地として淡路島が記載されています。
また、このことを裏付けるかのように、淡路島の歴史書「淡国通記」にも淡路島の南岸に香木が漂着したことが記されています。
さて、推古天皇の時代と言えば、まさに聖徳太子が摂政として活躍した時代です。
「聖徳太子伝略」という文献などによると、聖徳太子は朝廷に献上されたそれをすぐに香木だと見抜き、その香木で手箱と観音像を作った、とされています。
いかにも聡明で仏教への信仰の厚い、聖徳太子らしいエピソードですね。
香木伝来伝承地として、淡路島の枯木神社では人の体の大きさぐらいある香木(枯木)をご神体として祀っています。
また、この枯木神社は、淡路島と縁の深い静御前がよく参拝したと伝えられます。
もし、淡路島を訪れる際には、枯木神社にも立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
香りにまつわる歴史のロマンを感じることができるかも知れません。
※枯木神社の写真と場所はこちら。