梅薫堂の由来のはなし

梅の花

梅薫堂の歴史と由来

 現在、私どもの梅薫堂は現社長の吉井康人にて五代目となりますが、これは社長の代ではなく、家業としての代で数えています。いわば、歌舞伎役者や落語家の世界に近いかもしれません。初代から五代目までを並べると下記のとおりです。

  • 初代  : 井沢 藤兵衛
  • 二代目 : 魚水 権八
  • 三代目 : 吉井 勝良
  • 四代目 : 吉井 勲
  • 五代目 : 吉井 康人

 初代の井沢藤兵衛は、嘉永三年(1850年)、淡路島でお線香作りを創始した廻船問屋7船主のうちの一人です。今はもう製造されていませんが、「久盛香」というお線香を作り、線香の代名詞のような製品として長く九州地方などで販売されました。

 この井沢藤兵衛の実子で長男の権八が魚水家の養子に入ります。その人物が二代目の魚水権八です。魚水家は、九州特産の椨の木の皮を製粉した「ほんこ」を使った匂い線香の製造を始めたことで知られています。当時、椨入りの匂い線香は画期的な製品として注目を浴び、お線香の発展に大きく寄与したと言われています。

 三代目の吉井勝良は魚水権八の次男です。吉井家へ養子に入り、お線香作りを継承しました。吉井勝良の義理の父親が「梅吉」、そして息子が「勲」だったことから、大正15年に社名を吉井梅勲堂としました。

 なお、井澤家も、魚水家も、吉井家も、お線香作りは海が荒れる冬場の副業でした。吉井家の本業は廻船問屋と呉服商でした。お線香作りを本業にしたのは、四代目の吉井勲(いさお)の時代です。吉井勲が梅薫堂と社名を変更し、お線香作りを本業化していくのです。

 そして現在、五代目の吉井康人に至ります。先代から培ってきた伝統や技術を大切にしながらも、かつての先代達がそうであったように、皆様から愛される革新的な製品を市場に提案し新時代を切り開いてきたい、そして次の世代へとバトンを繋いでいきたい所存です。

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