香木・香料のはなし -桂皮-
桂皮
香木・香料のはなしの第四回目のテーマは「桂皮」です。
桂皮(けいひ)は、クスノキ科東京肉桂(トンキンニッケイ)やその他の同属植物の樹皮を乾燥させたもので、原産地は中国南部・ベトナム・スリランカといわれています。
桂皮というよりも、シナモンといったほうが馴染みが深いかもしれません。漢方薬の葛根湯のようなさわやかな香りが桂皮の香りです。ケーキやパン、クッキーなどの洋菓子や紅茶などとも相性が良く、シナモンロールやシナモントースト、シナモンスティックなどでも広く親しまれています。
※画像は(株)長川仁三郎商店からご提供いただきました。
なお、桂皮には健胃、整腸、駆風(くふう、胃腸内にたまったガスの排出を促進する作用)、発汗、解熱、鎮痛、収れん(肌を引きしめる作用)などに効果があると言われています。
また、古くから薬の材料や香料として親しまれ、中国では後漢時代(西暦25年~220年)に記された薬学書である『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』にも記載があります。日本でも、鑑真和上の時代に東大寺正倉院に納められた献納目録「種々薬帳(しゅじゅやくちょう)」に、桂皮についての記録が残っています。
ちなみに桂皮は、日本、中国南部、ベトナム、スリランカなどの産地によって香りが異なります。お線香の場合では、中国南部産の広南(かんなん)桂皮がよく知られています。