香十徳のはなし
香十徳と香の効能
1937年、フランスのルネ・モーリス・ガットフォセが「アロマテラピー」を著すよりもずっとずっと前に、東洋では「香十徳」の中で香の効能について説かれています。
「香十徳」は北宋の詩人、黄庭堅によって記された漢詩で、日本では「一休さん」の説話でも知られる一休宗純によって広められました。「香十徳」の内容は下記のとおりです。
1. 感格鬼神・・・感は鬼神に格(いた)り
2. 清淨心身・・・心身を清浄にし
3. 能除汚穢・・・能(よ)く汚穢(おわい)を除き
4. 能覺睡眠・・・能(よ)く睡眠を覚し
5. 静中成友・・・静中に友と成り
6. 塵裏偸閑・・・塵裏(じんり)に閑(ひま)を偸(ぬす)む
7. 多而不厭・・・多くして厭(いと)わず
8. 寡而為足・・・寡(すくな)くして足れりとす
9. 久蔵不朽・・・久しく蔵(たくわ)えて朽ちず
10. 常用無障・・・常に用いて障り無し
意訳にはなりますが、もっと簡単に説明するとこのような感じです。
1. 感覚を研ぎ澄まし
2. 心身を清らかにし
3. よく穢れを取り除き
4. よく眠りを覚まし
5. 静けさの中に安らぎをもたらし
6. 忙しい時にも心を和ませる
7. 多くても邪魔にならず
8. 少なくても十分に足りる
9. 年月を経ても朽ちず
10. 常に用いても障りはない
香の本質が、たった40文字の中で見事に表現された素晴らしい漢詩であるとともに、今も昔も香の効能に対する考え方が変わらないことに驚かされます。