荷心香のはなし
荷心香のはなし
「荷心香」という言葉をご存知ですか?
何も「かしんこう」という名前のお香やお線香がある訳ではありません。「荷心香」と書いて、「かしんかんばし」と読みます。「荷心(かしん)」とは「蓮の花」のことで、「蓮の花が香気を放っている」という意味を表します。
「荷心香」は、南朝梁の簡文帝蕭綱(503~551年)の詠んだ「日落荷心香・・・日落ちて荷心香る(暑い夏の夕暮れだが、蓮の花の香気が遠くにいてもさわやかさを感じさせてくれる)」という漢詩の一文に由来すると言われています。
なお、「荷心香」には「蓮の花が香気を放っている」という意味のほかにも、「何時如何なる時でも自分らしさを失ってはいけない」という特別な意味があります。「蓮」はどんなに泥沼の深いところにあっても、いつか必ず芽を出し、綺麗な花を咲かせ、良い香りを放つからです。
上記のような意味や言葉自体の美しさから、「荷心香」は書道の世界でもお題として用いられることがあります。また、お茶の世界にも「荷香十里」という「荷心香」と同じ意味合いで使われる言葉があります。
さて、梅薫堂の「花甘露」ブランドの中に、「蓮のかおり」という製品があります。高貴な癒しの香りが、何時如何なる時でも自分らしさを失わないという「蓮」の気高さを連想することができます。
もし、何かに挫けそうになったとき、自分らしさを失いそうになったときには、「荷心香」のことを思い出しながらこのお香を焚いて、気持ちをリフレッシュしてみるのも良いかもしれません。宜しければ、ぜひともお試しください。